うつ病

うつ病(気分障害)

うつうつとして楽しめないといった抑うつ気分の強い状態が続き、だんだんと心だけではなく、身体にも影響がでて、眠れない、食欲が起きないといった症状が起こったら、うつ病かもしれません。
うつ病は気分障害の一つとして分類される精神的疾患の一つです。うつうつとしたり、逆にハイテンションになったりといった気分の変化は誰にでもあることですが、その状態が通常の範囲を超えて強くなるのが気分障害の症状です。
うつ病は抑うつ気分や抑制症状が続くもので、心の症状から身体の不調にまで及び、日常生活に大きく影響がでてしまう疾患です。
重症化すると、自死に至ることもあり、心療内科や精神神経科の扱う疾患のうちでは、注意が必要なものですが、できるだけ早く発見し、適切な治療を受ければ完治が可能だということを患者様本人も、周囲の人も知っておく必要があります。
厚生労働省の調査では、一生のうちにうつ病を経験する人は100人に6人とも言われ、近年増加傾向にある疾患ですので、抑うつの症状を感じたらためらうことなく医師にご相談ください。
気分障害に分類される疾患としては、うつ病の他に、躁状態とうつ状態を交互に繰り返す双極性障害(躁うつ病)もあります。うつ病と双極性障害は治療法などがまったく異なる疾患ですので、自己判断することなく、心療内科、精神神経科などで医師の診断を受けて適切な治療をうけるようすることをお勧めします。

うつ病の症状

うつ病の症状には、以下のようなものがあります。

など

なお、以下にさらに詳しく心の症状と身体の症状の代表例を挙げておきます。もし以下のような症状が1、2週間にわたって続いているときは、心療内科などでご相談ください。

心の症状

  • ずっと気分が落ち込んでいる
  • いままで好きだったことに楽しみが見いだせなくなる、興味がなくなる
  • テレビや新聞を見る気がしなくなる
  • 過去のできごとを思い出しては悔やんだり悩んだりする
  • ものごとへの反応が遅くなる
  • 人と会う場所にでかけることや、付き合いが嫌になる
  • 身だしなみを気にかけなくなり、全体的にだらしなくなる
  • 落ち着きがなくなる
  • 飲酒量が増える
  • 何事も自分のせいにしてものごとを悪く悪く考える
  • ものごとが上手くできなくなり、焦っていらつくことが増える

など

身体に表れる症状

  • 食欲がなくなる、好きだった食べ物も美味しく感じられなくなる
  • 胃がもたれた感じがして、吐き気や下痢・便秘などが慢性的に続く
  • なかなか眠れない、眠っても浅くすぐに目覚めてしまう
  • 眠っても睡眠不足を感じてしまい午前中が辛く、夕方以降に消える
  • 全体的に身体がだるく、疲労を感じやすい
  • 微熱や低体温などの状態が続く
  • 頭痛や肩こりが続く
  • めまい、耳鳴りの症状が時々あらわれる
  • 性欲が低下する
  • 動悸が激しい
  • 口が渇く

など

うつ病の原因

うつ病の発症するメカニズムについては、まだ完全には解明されていません。ただ様々な研究によって、脳内で神経を伝達し、気分や体感などをコントロールしているセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンといった物質のバランスが崩れて起こるのではないかと考えられています。
そうした、脳内物質のバランスの変化が起こる要因として、一つは日常生活で受けるストレスや喪失体験などが大きく関係していると考えられており、これを反応性うつ病といいます。もう一つは、特に何も外的要因がないのにもかかわらず、脳内で突然バランスが崩れてしまうもので、これを内因性うつ病といいます。
反応性うつ病の場合は、就職、転職、結婚、離婚、身近な人との別れなどによるつらい体験や、逆に嬉しいことおめでたいことなどが環境の激変につながってストレス要因となって起こるとされています。
内因性うつ病の場合は、急激に脳内物質のバランスが崩れることで起こります。

うつ病の治療

うつ病では、まず、ご本人、ご家族、身の回りの方からしっかりと状況や状態などの聴き取りを行います。
その上で、治療の一環としてまずはしっかりと休養をとることが重要です。仕事や学業のペースを落としてみる、しばらく休んでみることなどが有効です。また、場合によっては休職や休学、転地などによって、強いストレスを受ける原因となっている場所や事柄から一度身を離して、心と身体をしっかりと休めます。なかなか休養を実行できないときは入院を考えてもよいでしょう。
しっかりとした休養をとりながら、医師の指導のもとで、薬物療法と心理療法(精神療法)を行います。
薬物療法では、抗うつ薬を中心に処方を行います。抗うつ薬としては感情をコントロールする脳内物質の分泌バランスを調整するタイプのものが数種類、その他のものも何種類かが認可されています。患者様の状態などにあわせてその中から適切と考えられる薬を選んでいきますが、効果が出てくるまで数週間が必要です。中には副作用が出やすい薬もありますので、効果と副作用の状況を観察しながら、その薬が有効かどうか確認して、もし副作用の方が強いようであれば、別の薬を試すことになります。

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